ついに!!ついに・・・!!!
私は憧れの六番隊に所属できることが決まった!!

六番隊。
朽木白哉隊長と阿散井恋次副隊長が率いる隊で、規律は厳しいと思われている。
それはそうだけれど、阿散井副隊長が親しみやすい方で、常にピリピリとした緊張感があるわけではないと聞いたことがあった。

阿散井副隊長は、この間の藍染元隊長たちの事件で、勇敢に旅禍と戦い、また幼馴染である朽木ルキアさんを助けるために、自らの隊長とも戦いをされた。

そんな阿散井副隊長を私は学院でお見かけしたことがある。
その時から、特進クラスの方であったにも拘らず、近寄り難いエリートという空気は無く、私は何処となく阿散井副隊長に憧れを抱いた。
きっと、同じように阿散井副隊長に惹かれている後輩は、たくさん居るのではないかと思う。

そんなわけで、どうしても阿散井副隊長の下で戦いたくて、私はずっと六番隊を志願していた。

そして、とうとう!!その六番隊の一員となることができた!
と言っても、私の成績はそこまで良くないので、席官にはなれず、まだまだ阿散井副隊長には遠い。
でも、これから、もっと頑張るぞー!!

そう決意も新たにして、私は毎日、修行に励んでいた。


「・・・あ、あそこにいらっしゃるのは・・・!!」


ふと阿散井副隊長の独特の髪色が目に入った。・・・そして、よく見ると、その隣には朽木ルキアさんがいらっしゃった。
あのお2人は、本当お似合いだと思う。何て言うか、空気感?・・・が似ている・・・ような・・・気が・・・する。よくわからないけど。
とりあえず、阿散井副隊長の横を歩いても何の違和感も無い、朽木ルキアさんが羨ましく思えた。


「・・・って!ついつい、後を尾けちゃった・・・。」


だって、阿散井副隊長は、やっぱり私にとっては雲の上の存在で・・・。なかなかお会いできないのだから、こういう機会を活かさないわけはない!決して、ストーキング行為ではない。
自分にそんな言い訳をしていると・・・。


「・・・そんな所で何をしているのだ?」


しまった!!
どうやら、いつの間にか阿散井副隊長と朽木ルキアさんは別れて、朽木ルキアさんだけがこちらに戻って来ていたらしい。


「えぇっと・・・!!」

「その腕章は・・・兄様の・・・。もしや、恋次に何か用事でもあったのか?おい、れん・・・。」

「ち、違います!!違います!!!」


朽木ルキアさんは親切に、阿散井副隊長を呼ぼうとしてくださって、私は慌てて阻止した。


「では、なぜ、そんな所でコソコソしておったのだ?」


だけど、そう聞かれてしまうと、何も答えれなくて・・・。
もう素直に言うしかないか・・・。


「あの・・・。私は阿散井副隊長に憧れ、六番隊に志願し、先日ようやく隊に所属できたばかりなので・・・その・・・。阿散井副隊長をお見かけして、つい・・・。」

「なるほど・・・。恋次かぁ・・・。」

「も、もちろん!!朽木隊長のことも尊敬いたしております!!」


朽木ルキアさんの御兄様は、我が六番隊の隊長だから、朽木隊長の御名前を出さなければ失礼だと思ったら、見事に無理矢理になってしまった・・・。朽木ルキアさんにも笑われてしまった。
あぁ、本当に尊敬してるのに・・・!!


「・・・・・・そうだ、名は?」

「私はと申します。」

「私は朽木ルキアだ。」

「はい、存じております。」

「それもそうか・・・。この間、あんなことがあったばかりだからな。」

「いえ!それだけでなく、以前から阿散井副隊長の御友人ということで・・・。」

「ほう・・・。」


あ、あれ・・・??もしかして・・・、この理由って・・・。おかしい・・・?
何故か、朽木ルキアさんも、ニヤリとされた。しかし、朽木ルキアさんは、もうその話には触れようとなさらなかった。


。私も一般隊員なのだから、そのように畏まって話す必要は無いぞ。」

「しかし、朽木ルキアさんは、私の先輩にもあたりますし・・・。ましてや、隊長の・・・。」

「兄様は兄様。私は私だ。そのような扱いをされるのが、私はあまり好きではない。」

「そ、それは申し訳ございません・・・。」

「だから、ルキア、でいいぞ?」


うわぁ・・・。朽木ルキアさんと、少し親しくなれそうな雰囲気だ・・・!!すごく、嬉しい!!


「・・・ですが、やはり先輩ですので・・・・・・。それに、阿散井副隊長の御友人ですし・・・。」

「好きなんだねぇ・・・!!」


突然、上の方から、そんな声が聞こえた。朽木ルキアさんにしては声が高い。それに、朽木ルキアさんは目の前にいらっしゃるわけで・・・。
そう思いながら、見上げると、塀の上に綺麗な桃色の頭が見えた。・・・この御方は!!


「「草鹿副隊長・・・!!!」」


十一番隊の草鹿やちる副隊長だ・・・!!どうして、こんな所に・・・。


「あのねぇー!今から、びゃっくんの家に行こうと思ってたんだけどー、この子がずっとコソコソしてるから、気になってずっと様子見てたんだよー!」


ずっと・・・?!さすが、副隊長ともなれば、気配も完全に感じられないということか・・・。それとも、私が未熟者だから?あるいは、阿散井副隊長を気にしすぎた余り、集中力が欠けていたから?・・・・・・その全部が原因か。
それと、『びゃっくん』とは一体・・・??そんな考えを遮るように、草鹿副隊長がもう1度仰った。


「それにしても、すっごく好きなんだねぇー!」

「えっ・・・!!」


今更、草鹿副隊長が仰った言葉の意味を理解した。・・・私が阿散井副隊長を?!


「そ、そういうわけでは・・・!!」

「いえ、そういうことのようです。」

「ルキアさん・・・?!」


私も思わず、下の名前で呼んでしまった・・・。まぁ、さっきルキアさん本人が「ルキア、でいい」と仰ったから、何も気にしていらっしゃらないようだったけれど・・・。


「だよねー。じゃあ、協力してあげないとね!!」

「はい、私もそう考えております。」

「同じ副隊長だから、任せて!!」

「はい、ありがとうございます。・・・?」

「えっ?あ、はい・・・。ありがとうございます・・・。」

「うん、いいよー!協力したら、お菓子ちょーだいねー!!」


それだけ仰って、草鹿副隊長の姿は見えなくなってしまった。・・・私も、もっと精進しなくちゃ!
って、今はそんなこと言ってる場合じゃなくて・・・!!


「ど、どういうことですか?!!」

「そういうことだ。私も協力するからな?何でも言ってくれ。」


そう言われても・・・。


「私は、本当に阿散井副隊長を尊敬しているだけで・・・!」

「それだけで、後を尾けたりはしないと思うが?それに、どういう気持ちであれ、恋次に近付きたいとは思っているのだろう?」


私は何も言い返せなくなって、思わず黙った。


「なら、協力してやると言っているのだ。」

「・・・・・・はい、ありがとうございます。」


結局、私は礼を言って、頭を下げると、ルキアさんが嬉しそうに「またな」と仰って、この場を立ち去られた。
うう・・・。何だか、大事になってる気がする・・・。
そう思いつつも、心の何処かで楽しみにしているのは、やっぱり・・・?

だけど、協力ってどういうことだろう・・・。私はどうすればいいんだろう・・・。
な、何にせよ!!私はまだまだ修行しなきゃ!うん、私が優先すべきは修行だ、修行!!

そう考えて、私は普段通りに過ごしていた。
けれど、数日後。私が隊舎で修行をしていると、ルキアさんと阿散井副隊長が何かお話されているところを目撃した。
・・・なんとなく、嫌な予感がする。そう思いながらも、やっぱり気になって、少し近付いて話を盗み聞くことにした。


「恋次。この間、隊に所属したを知っているか?」

・・・?」

「あぁ、という。」

「・・・・・・あぁ、アイツか。やけに熱心な奴だな。」


・・・うわぁ。ちょっと、盗み聞いて良かった・・・。だって、阿散井副隊長に覚えてもらえているどころか、熱心だとも思われていて・・・!!
いや、別の人と間違ってる可能性もあるよね。・・・でも、阿散井副隊長の声で『』と呼ばれたことは嬉しいかも。


「そのと親しくなってな。今日は一緒に特訓でもしようかと思って来たんだが・・・すまないが、を呼んできてもらえないか?」


ん?!!


「わかった。ちょっと待ってろよ。」


んん?!!!
落ち着け〜・・・、自分。今、ルキアさんは何と仰った?
たしか、私と親しくなったから・・・そんな風に言っていただけるなんて、光栄だ!って、そこじゃなくて。
私と一緒に特訓でもしようかと・・・なんて、ありがたい!って、そこでもなくて。
私を呼んできてもらえないか・・・・・・誰に・・・?

あ、阿散井副隊長に〜〜?!!

どうしよう・・・。すぐに出て行けば、阿散井副隊長の手を煩わせることなく・・・。でも、もう阿散井副隊長は私を探し始めているだろうし・・・。それなら、ここに居る方が・・・。あ〜・・・!!もう、どうすればいいの?!!・・・それに。阿散井副隊長が私を探し出せるということは、やっぱりさっきの『熱心な奴』というのは、私のことだったんだ・・・。すごく嬉しいと同時に、何だか照れくさい。
そんなことを考え、私は結局どうすることもできず、ただ呆然とその場に立ち尽くしていた。


「おい、そこの。」

は、はいぃぃ・・・っ!!

「十三番隊の朽木ルキアがお前に用があるってよ。」

「はい!わかりました・・・!!」

「隊舎の前で待ってるぜ。」

「はい!ありがとうございます!!失礼いたします・・・!!」


私は慌てて礼をして、走り去った。
阿散井副隊長と会話・・・!!!で、でも!こんなの突然すぎます!!


「ルキアさん・・・!!」

「どうした?」


息を切らしながら、ルキアさんを呼ぶと、ルキアさんは嬉しそうに笑っていらっしゃった。


「はぁ・・・、はぁ・・・、はぁ・・・。疲れました・・・。」

「別に急いで来る必要は無かったのだぞ?」

「そっちじゃありません・・・!!」


またルキアさんは楽しそうに笑っていらっしゃった。・・・わかっていらっしゃるくせに。


「とりあえず、今日は一緒に特訓をするという名目で来たのだ。移動するぞ。」

「・・・はい。」


私はまだ納得していない部分もあるけど、このまま隊舎で話していて、阿散井副隊長と会ってしまっては気まずいので、渋々ルキアさんについて行くことにした。


。もしや、恋次と話すのは初めてだったのか?」

「それはそうですよ!私なんか、この間所属されたばかりの一般隊員なんですから・・・。副隊長と直接お話することなんて・・・。だから、すごく疲れました!」

「それは良かったな。」


いやいや!私は文句を言ってるんですよ?!・・・本当、私なんて一端の隊員なんですから。
こうしてルキアさんとお話できることだって、周りからすれば、かなり羨ましいことなのに、ましてや自分の隊の副隊長となんて・・・。


「でも、すごく緊張しました・・・!」

「しかし、いずれは私も追い越し、恋次に近付けるほど、力をつけるつもりなのだろう?そうなれば、話す機会も増える。今の内から、慣らしておいた方がいいだろう。」

「・・・早すぎます。」

「そうか?・・・まぁ、私とて、簡単にに抜かれはしないがな。恋次に負けているとも思っておらぬし。」


そっちの意味で早いって言ったわけじゃないです・・・。もちろん、それはそれで合ってますけど。


「では、まず私たちにできることは、特訓ということか。よし、今から行くぞ。」

「えぇ?!本当に、お相手してくださるんですか?!!」


だって、それは名目上の理由であって・・・。いや、もちろん嫌なわけはない。でも、ルキアさんとお話できることでさえ有り難いことなのに、一緒に特訓をさせていただけるなんて、この上なく幸せ者だよ、私は!!


「別に構わないぞ。」

「ありがとうございます!!!」

「・・・(本当、熱心なんだな。)」

「ルキアさん・・・?」

「いや、何でも無い。さぁ、行くか。」

「はい!!!」


ルキアさんに依る【阿散井副隊長との初会話作戦】、成功。・・・いや、私が緊張しすぎてたから、会話とは言えないかな。・・・ってわけで、やや成功。
でも、その後、ルキアさんに特訓の相手をしていただいたので、私としては充分満足だ!









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突然、初阿散井夢です(笑)。以前から、「BLEACH」はシリアスになりがちなので、楽しい話を・・・と考えていた結果、こんなことになってしまいました。
“こんなことに”というのは、“連載っぽく”なっていましまったということです。完結するまで、まだまだかもしれませんが、お付き合いくださいませ・・・!(汗)
あと、今回は『楽しい話』がモットーなので、タイトルもそんなに拘りませんでした。

ちなみに、結末は一応考えてるんですが・・・。それまで、自分の好きキャラをどんどん出していこうと思っています(笑)。なので、完結が遅くなりそうなんです;;
とりあえず、今回出したかったのは、ルキアさんと草鹿副隊長でしたー☆・・・って、あれ?女の子ばっかり・・・(笑)。

('08/04/24)