2〜3日安静っていうのは、昨日の分も入れていいのかなー?何にせよ、明日か明後日ぐらいには戻れるだろう。焦っちゃ駄目だよね。治すときは、治すことに専念しないと。
それに、昨日、卯ノ花隊長に言われた通り、私は考える時間が増えたと思うようにした。そして、結局阿散井副隊長のことを考えてしまってる私。・・・やっぱり、好きなんだよね?
そういえば、阿散井副隊長たちが現世へ出発されてから、そろそろ1ヶ月ぐらい経つ。まだ帰って来られないのだろうか?なんてことを考えていると、ドアの外がやけに騒がしくなった。
「隊長ー。いいじゃないですか。たまには気晴らしも必要ですって。」
「お前は気晴らしばっかりだろうが。」
「そんなことないですよー。・・・あ!あんたもいいとこに来たわねー。」
「え?なんスか?」
「面白い話があんのよ。さ、行くわよー。・・・お邪魔しまーす!」
そうして開けられたのは、紛れもなく私が見ていたドアで。そして、そこには十番隊の日番谷冬獅郎隊長と松本乱菊副隊長、九番隊の檜佐木修兵副隊長がいらっしゃった。
一気に隊長格の御三方にお会いできた私だけれど、最近、そういう出来事が多かった所為か、少しは免疫ができていた。・・・いや、本当はそれ以上に気になったことがあったから、かもしれないけれど。
とにかく、私はあまり動じず、松本副隊長の御言葉に返事をしていた。
「六番隊のさん??」
「はい、そうです。・・・あの、このような体勢のままで、すみません。」
「いいのよ!気にしないで。」
「まったくだ。松本、お前、突然来るなんて、迷惑だろう。」
「だって、気になったんですもんー。・・・一角と弓親から聞いたんだけど、恋次のこと好きなの??」
日番谷隊長はため息を吐いていらっしゃった。檜佐木副隊長は、初めて聞いたらしく、驚いた御様子だった。・・・まったく、本当に事が大きくなってるんだから。
でも、私も否定することなく、話を続けた。・・・だって、やっぱり気になるから。
「それで、お聞きしたいんですけど・・・。現世はどうでしたか?阿散井副隊長は、どうなさっていますか?」
私は、日番谷隊長と松本副隊長の御姿を見た瞬間に、現世のことを思い出してしまって、それ以外のことがあまり考えられなくなっていた。
「みんな、無事よ。・・・それにしても、意外とあっさり認めるのね。一角と弓親には、自分では気付いてないみたいだ、って聞いてたのに・・・。ねぇ、隊長。」
また日番谷隊長はため息を吐いていらっしゃった。・・・このお2人は、正反対に見えて、意外と良いコンビだという話をお聞きしたことがある。おそらく、日番谷隊長は、五番隊の雛森桃副隊長の御容態を心配されて、四番隊の隊舎にいらっしゃったのだろう。そして、その気分転換にでもなればとお考えになって、松本副隊長は日番谷隊長も巻き込まれたのだと思う。
・・・檜佐木副隊長は、本当に偶然巻き込まれただけだろうけど。
とにかく、結構バレてしまっているから、今更隠すこともなく、私は言った。
「最近、気付けたんです。」
って言っても昨日だけど・・・。そして、昨日から、違うことに悩んでる。そこまでは話す必要も無いだろうと思っていたのに。
「・・・なんか、暗いわね。気付けたんなら、もっと明るくなるもんでしょ?それとも、何か不安なことでもあるの?」
松本副隊長に、すぐに見抜かれてしまった。・・・そんなに暗い顔をしてたつもりはなかったんだけど。でも、松本副隊長の目を見て、嘘を言っても無駄な気がした私は、仕方なく話をした。
本当は、これ以上、大げさにしたくないと思ってるし、日番谷隊長や檜佐木副隊長にも聞かれてしまうのはあまり好ましくない。ただ、松本副隊長になら話してみたい、頼ってみたいという気持ちも出てきてしまっていた。・・・松本副隊長って、やっぱり素敵な女性だなぁ。
「私と阿散井副隊長じゃ、位が違いすぎるので・・・。私がこのような想いを抱いてもいいものかと・・・。」
「いいに決まってるでしょ!」
理由を話す前に、松本副隊長は、その一言だけを即答なされた。・・・それだけでも、かなり励まされた。だけど、ちゃんと松本副隊長は、その後も話を続けてくださった。
「好きになるのは、誰かにそうしろと言われたわけじゃない。義務で好きになってるわけじゃないでしょ?だったら、そこにルールを作るのも自分次第。あんたがいいと思えば、それでいいのよ。・・・ね、隊長だって、気にしませんよね?」
「なんで、俺に振るんだ・・・。まぁ、どんな感情だとしても、守ってやりたいとか、相手を大切に思う気持ちっていうのは、自分や相手の立場が変わっても、そう変わるもんじゃないとは思うぜ。」
「ほら、修兵も!」
「えぇ?!俺、今初めて聞いたとこなんスけど・・・。とりあえず、位なんて気にすることないと思うけどな。位なんて、常に変わるもんだしよ。・・・どうしても気になるんなら、自分も席官とか他の隊の副隊長になれるよう、頑張ればいいんじゃないか。」
「納得した??」
「・・・はい。ありがとうございます、松本副隊長。それに、日番谷隊長、檜佐木副隊長も、ありがとうございます。」
自分でも、少しはわかっていた。だけど、こうして誰かに言ってもらえると、安心する。・・・好きでいてもいいんだって。
「阿散井も、こっち帰ってきてるから。早く治しなさいよ?」
「はい!ありがとうございます。」
「それじゃ。お邪魔しました〜。・・・って言うか、修兵は何しに来てたの?」
「俺は、四番隊にこれを・・・。」
そんな話をなさりながら、また賑やかにこの部屋を出て行かれた。
もう聞こえてないと思うけど、私はその後姿に、もう1度御礼を言った。
「ありがとうございました。」
松本副隊長(日番谷隊長・檜佐木副隊長の協力)に依る【恋愛相談】、無事解決。
それだけじゃなく、今までも、たくさんの方々に協力していただいたと、あらためて有り難く思えた。
その後、しばらくして、ドアがノックされた。
「はい。」
「よう・・・。大丈夫か?」
「・・・阿散井副隊長!」
まさか、阿散井副隊長が来てくださるとは・・・。いや、もしかすると、松本副隊長が呼んでくださったのかもしれない。何だか悪い気がしつつも、やっぱり嬉しく思ってしまった。
「怪我したって聞いたけど・・・。大丈夫なのか?」
「はい、大丈夫です!もうすぐ治ります!」
「そうか。」
・・・そういえば、好きだと自覚して話すのって、初めてだ。そうでなくとも、緊張するのに。
って、意識したら余計に緊張する!!別のことを考えよう!!
「ところで、阿散井副隊長。私の怪我の話は、どなたから・・・?」
「うちの隊長だ。」
「えっ!そうだったんですか・・・。」
あれ、松本副隊長じゃなかったのか。・・・そうだよね。皆さん協力してくださったり、話を聞いてくださったり、応援してくださるけれど、そうお暇な方々ではないですもんね・・・。何だか、失礼なことを考えてしまったな・・・。
「現世から帰ってすぐ、隊長から話を聞いて・・・。」
「お忙しいところ、ありがとうございます!」
きっと、現世の報告など、様々な御仕事があるはずだ。それにも拘らず、隊員の様子も見に来てくださるなんて・・・。それも、副隊長の役目なのかもしれないけれど、とても嬉しい。でも、迷惑もかけたくない。
「阿散井副隊長、本当にありがとうございました。私はこの通り、もう大丈夫ですので、他の御仕事等がございましたら、そちらを優先なさってください。」
「・・・あぁ。その前に、ルキアからお前宛に言伝があるんだ。」
「ルキアさんから・・・?」
「こっちでも少し騒ぎになってるが・・・。現世の奴が破面に攫われたんだ。それで、ルキア、それから俺もなんだが、これから虚園に向かうことにした。」
「虚園に?!」
虚園。話に聞いたことはある。実際に行ったことはなくても、そこが危険な場所だということはわかる。それに、今は藍染元隊長たちがいるから、より危なくなってるはずだ。・・・そんな所に行ってしまわれるなんて。
「これは、尸魂界の意に反してやることだ。だから、誰にも言わねぇでほしいんだが・・・。ルキアがお前には伝えておきたいと言っていた。・・・から、ルキアに言っておくことはあるか?」
現世に行ってしまわれたときでも、こんなに寂しかったのに。今度は虚園だなんて・・・。
尸魂界の命じゃないのなら、私も行きたいなんて我が侭を言いたくなる。だけど、それは本当の我が侭だ。ただ、ルキアさん・阿散井副隊長の御迷惑になるだけ。
でも、やっぱり寂しいものは寂しい。阿散井副隊長への自分の気持ちに気付いた今は、もっと辛くなる。だったら・・・。
「今は、虚園に行く実力がありませんが・・・。いずれ、ルキアさんと一緒に戦えることを楽しみにしています。なので、無事に帰ってきて、また特訓の相手をしてください、とお伝えしていただけますか?」
「おぅ!任せときな。」
「それと、阿散井副隊長。畏れ多くも、阿散井副隊長にもお伝えしたいことがございます。・・・申し上げてもよろしいでしょうか?」
「なんだ?」
「私の話をお聞きになっても、気を悪くなさらないでくださいますよう、お願いしておきます。・・・私、学院でお見かけした阿散井副隊長のことを尊敬して、六番隊に志願いたしました。ずっと、阿散井副隊長のお役に立ちたくて、修行してきましたし、これからもそうします。・・・しかし、私は阿散井副隊長に、憧れや尊敬の念だけではなく、恋心も抱いてしまいました。なので、虚園に行ってしまわれるなんて、とても寂しく思います。ですが、憧れの阿散井副隊長がお強いということも存じているつもりです。ですから、私は無事お帰りになられることを心待ちにしております。・・・ただ、やはり少しは不安もあったので、自分の気持ちを憚らずに申し上げてしまいました。お忙しいときに、このようなことを申し上げて、大変失礼いたしました。」
本当に、これも我が侭だ。・・・だけど、やっぱり言っておきたかった。だって、いつお帰りになるかわからないから。
阿散井副隊長には御迷惑だと思うけど・・・。
「そうか。」
私への返事と言うよりも、何かに納得をなさったように、阿散井副隊長はそう仰った。
「そうだよな。まったく、自分で気付かないなんてよ・・・。」
「阿散井副隊長・・・?」
「あぁ、悪い。そっちから言わせちまって、悪かったな。・・・俺も、そうだ。が好きなんだ。・・・って、今気付いたんだけど。」
・・・・・・・・・えぇー?!!!いや、でも・・・。
今ってことは、この雰囲気に流されていらっしゃるだけじゃないんですか・・・?!
「さっき、隊長からが怪我をしたって聞いて・・・。俺は、すげぇ心配になったんだ。今までも、こんなにを意識していたのは、自分に似てるからだと思ってたけど・・・。違ったんだな。」
「・・・・・・あの、その御言葉は大変嬉しいのですが・・・もう1度ゆっくりお考えになった方がよろしいのでは・・・?」
私も思わず、そんなことを口走ってしまった。・・・だって、そんな有り難いことがあるわけがないもん!!
「あのなぁ・・・。俺は人の意見に流されるような奴じゃねぇぞ?ただ、さっきのの言葉がきっかけで気付けただけだ。・・・最初は、本当に自分と似てると感じたから気になったのかもしれねぇ。だけど、その後、更木隊長に誤解されたときも、今回の怪我のことも、やたらのことが心配だった。それに、一角さんから、を十一番隊に引き抜きたいなんて話を聞いたときも、なぜか俺が辛く思った。だが、それが嘘だと知って、俺はすごく安心した。・・・そういうことを考えると、やっぱり、俺はのことが好きなんだ。」
阿散井副隊長は、嘘を吐くような方には見えない。だったら、これも本当に信じていいんですか・・・?
「・・・・・・夢、じゃないですよね?」
私がそう言うと、阿散井副隊長は少し苦笑いをされた後、私の頭を撫でてくださった。
・・・うわぁ!!お、畏れ多い・・・!!!
「ほら。俺の手の感触があるだろ?・・・ってことは、夢じゃねぇんだ。」
いや、夢の中でも、感触があるときだって・・・なんて、屁理屈も言う気が無くなるぐらい、阿散井副隊長の手は、安心感があった。うん、やっぱりこれは現実なんだ。
「あ、ありがとうございます・・・。」
「こっちこそ、ありがとな。お前が待ってくれんなら、虚園でも頑張れそうだぜ。」
・・・そうだ。阿散井副隊長は、今からルキアさんと虚園へ向かわれるんだった。せっかく、思いが通じたのに・・・。
でも、尸魂界に残る私にも、できることはあるはずだ。
「阿散井副隊長、ルキアさんの無事を祈っております。」
「ルキアにも、ちゃんと伝えておく。・・・じゃあな。」
その後姿を見て、本当は引き止めたくなるけれど。
「虚園から帰ったら、すぐにの所に来るからよ。」
「・・・ありがとうございます。」
そんな御言葉をいただけたら、ちゃんと待っていられそうだ。・・・それに、ただ待つだけじゃなくて、今度こそ、一緒に戦いへ出られるように、修行だってしなくちゃならない。そんなことを考えながら、阿散井副隊長が出て行かれるのを見ていた。
・・・そして、1人になってみて、よく考えると。憧れの阿散井副隊長と、両思いだったってことなんだよね。それって、すごいことだよね?!!でも、これは私1人じゃ無理だった。皆さんが何かしらのきっかけをくださったからだ。・・・最初は、ちょっと困ることもあったけど、今になって思えば、有り難いことをしていただいた。あらためて、お礼も言わなくちゃ!
そう、やっぱり私は阿散井副隊長が大好きなんです!
← Back
最後に出したかったのは、松本副隊長・日番谷隊長・檜佐木副隊長でした〜。最後まで、皆さんの口調がよくわかりませんでした・・・orz
むしろ、阿散井副隊長に話すヒロインも敬語過ぎて、よくわからなくなりました(汗)。
もし番外編を書くことがあれば、その辺りのリベンジ(?)もしたいと思います!
それと、相変わらずオチが微妙ですね・・・。楽しくしようと思っていたのに、ちょっとずつ寂しい方へ行きそうになってましたし;;
こんな作品でしたが、最後までお付き合いくださり、ありがとうございました!!
('08/05/22)