え〜っと、この辺やねんけど・・・。()
今、は携帯の画面と、周りの景色を見比べている。
あっ!これや!大っきいもんなぁ・・・。()
そこには、「跡部」の家があった。どうやら、も、携帯に住所を入れていたようである。(前回、滝も入れていた。)
“プー”
金持ちの跡部家は、ブザーの音から違った。
櫻井 「どちら様でしょうか。」
跡部家で働いている、櫻井という人が出た。
「跡部 景吾さんの知り合いの、忍足 という者ですけど、景吾さんは、いらっしゃいますか?」
櫻井 「少々、お待ち下さいませ・・・。」
しばらくすると、門が開いた。
櫻井 「どうぞ、お入りください。」
「すいません。お邪魔します。」
こんな家に入んの、緊張するー!()
門から、少し歩くとドアが見えた。その前に跡部が立っていた。
跡部 「よう。待ってたぜ。」
跡部も、来る、とは思っていなかったが、本当に来たので、上機嫌でを迎えた。
「ホント、1人で来ちゃったんですけど、いいですか?」
跡部 「当然だろ?」
むしろ、1人で来てほしい、と跡部は思っていた。
跡部 「忍足には言って来なかったのか?」
忍足に言えば、必ず連いてきそうなのに、が1人で来たとこを見ると、言っていないのだろう、と思った跡部は、そう尋ねた。しかし、その後、思いもよらぬ返事が返ってきた。
「えぇ・・・。・・・と、いうか・・・・・・。実は、私、家出したんです。」
跡部 「家出・・・?!」
「はい。あっ!だからって、跡部さんの家に泊まろう、とは考えてませんから!安心して下さい!」
跡部 「じゃあ、どこに泊まるつもりなんだ?」
「それは・・・。まだ・・・。」
跡部 「とにかく、上がれ。それから、考えろ。」
「すいません・・・。」
は、跡部の家に上がり、跡部の部屋に入れてもらった。そこは、1人部屋にしては、かなり広く、は驚いた。
「すごい、ですね・・・!」
跡部 「そんなことは、どうだっていい。それより、なんで家出なんてしたんだ?忍足の奴、お前のこと、かわいがってたじゃねぇか。」
「私も兄のこと、好きですよ。でも、兄は心配しすぎなんです!携帯も、『何かがあったら、すぐに連絡できるように』って兄が持たせた物だし、昨日だって、跡部さん達を家に上げただけで、あんなに怒るし・・・。私は、そんな子供じゃない、と思って、家を出たんです。」
跡部 「贅沢な悩みだな。」
それだけで、家出なんて、は子供だな、そう跡部は思ったが、今言ってしまうと、が怒ってしまいそうなので、やめた。
「昨日は、ホント失礼しました。兄ったら、跡部さんのこと、あんな風に言って・・・。今日は、それを謝りに来たんです。」
跡部 「・・・・・・。、どこに泊まるのか、決まってないんだろ?ここに泊まっていけ。」
「え〜!いいですよ!今日は、謝りに来ただけですから、ホントに!」
跡部 「でも、泊まる所、決めてないんだろ?」
「そうですけど・・・。でも、家出って1日で終わりませんよ?もしかしたら、一生ってことも・・・。」
跡部 「じゃあ、一生泊まっていけ。」
一生なら、一生でいい。むしろ、長い方が跡部は、よかった。
「ダメですよ!迷惑でしょうし・・・。」
跡部 「迷惑?たとえば、どんな。」
「えっ・・・。た、たとえば・・・。部屋とか・・・。」
跡部 「部屋なら、いくつでも空いてる。」
跡部の家は、広い。空いている部屋なら、何部屋でもあり、そんなことで困ったりしない。
「あと・・・、食事とか・・・。」
跡部 「作ってるのはコックだから、関係ねぇ。給料を上げればいい、だけだ。」
食事は、コックが作っているので、給料さえ上げれば、誰の迷惑にもならない。
「じゃあ、その給料だって・・・!」
跡部 「それぐらい、どうってことねぇ。」
跡部家は、金持ちだ。1人分の食費ぐらい増えても、大丈夫なのである。
「でも、心っていうか・・・。精神的に困りは、しないでしょうか。だって、私、他人ですし・・・。」
これは最大の壁である。金持ちでも、心までは、どうしようもない。
跡部 「じゃあ、今日からは、跡部 。俺の妹だ。」
「・・・・・・え?!そんな、簡単に・・・!」
跡部 「俺も、妹が欲しいと思ったことあるからな。」
「で、でも・・・!」
跡部 「ここは、お前の家だ。だから、敬語なんて使わなくていい。普通に話せばいい。普通に生活すればいい。」
「・・・・・・・・・。」
跡部 「どうする?もう、迷惑かける、だとか思わねぇだろ。」
「思いますよ!」
跡部 「なんで、だ?」
「だって、本当は兄妹じゃないんですよ?家族じゃないんですよ?」
跡部 「でも、世界には・・・いや、日本にだって、血がつながってない家族だっているだろ?」
跡部の言うとおりである。しかし、それとこれとは、また別だ。
「それは、事情があって・・・!」
跡部 「・・・じゃあ、戸籍を書き換えるか。」
跡部なら、本当にやりかねない。も、諦めたのか、ため息をついて言った。
「・・・本当にいいんですね?」
跡部 「戸籍を書き換えるのか?」
「そこまで、しなくてもいいです!・・・本当に、この家にいてもいいんですね?」
跡部 「最初から、言ってるだろ。それと、敬語も使わなくていい。」
「じゃ・・・。ありがとう・・・!・・・・・・。」
は、まだ何か言いたそうだったが、口を閉じた。
跡部 「・・・?どうした。」
「いや、なんて呼ぼうかな、って・・・。」
跡部 「呼びやすいように呼べ。」
「じゃあ・・・。侑士兄は侑兄やから・・・。景吾兄は景兄で。」
跡部 「わかった。」
「ホンマ、ありがとう!景兄!」
景兄と呼ばれるのも、悪くないと思いつつ、跡部は、忍足にどう自慢するか、考えていた。
その頃、忍足家では・・・。
侑兄へ
侑兄は、うちのことをガキ扱いしすぎ!だから、うちがガキじゃないってことを証明するために、家出します。決して、探すな!それから、心配もしんといてや!
忍足が家に帰ってくると、そう書かれた手紙が、テーブルに置かれていた。
忍足 「ー!俺、ガキ扱いなんて、してへんで?1人の女として、見てんのに・・・!」
1人の女として見ているのと、ガキ扱いしていないのとは、関係ないとは思うが・・・。
忍足 「どこ行ったんや、ー!」
忍足は、の手紙に書かれたことをも守らずに、を探した。翌日、身近な者から、の居場所を聞くとは思わずに・・・。
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景吾兄様登場です。むしろ、跡部さんしか出てなくて(後半に忍足さんは、ちょこっと出てきますが。)他のキャラが出てくるのを楽しみにしてくださっている方々(がいらっしゃるとは思えませんが・・・。万が一いらっしゃれば、その方々)には申し訳ありません。
今後、いっぱい出していきますね・・・!でも、やっぱり偏りは生じると思います・・・。すみません・・・orz
そもそも、なぜ跡部家なのかと言いますと。
妹設定の話は、本来、跡部さんで書きたかったんですよ。変態兄貴な跡部さんを!!(笑)
でも、変態兄貴な忍足さんも捨てがたくて迷った挙句、書きやすそうな関西弁キャラにしたわけです。
というわけで、未だ諦めがつかず、跡部家にお泊りです♪