教室の喧騒から逃れ、俺はコート近くの木の下へ来ていた。もう昼飯も食ったし、少し昼寝でもしようと、そこに寝転ぼうとした瞬間に、前から、手を振ってこっちに走ってくる人が見えた。・・・・・・他の奴なら無視したけど。そうするわけにもいかないじゃん。
「やっほ、リョーマくん。」
「チッス。・・・どうしたんすか、先輩。」
「リョーマくんを探してたんだよー。・・・隣、いい?」
「・・・どうぞ。」
「ありがと。」
そう言って、俺と同じように、木の下に座った先輩は、俺たちテニス部のマネージャー、先輩。俺からすれば、先輩とは部活ぐらいでしか会えないから、俺がこんな偶然を逃がすわけは無かった。
「何か、用っすか?」
「うん!あのね、さっき、ジュース買ったら・・・。なんと、当たったの!それで、1本リョーマくんの好きなファンタを買ったから。・・・はい、プレゼント♪」
「・・・どうも。」
「どうせ、タダだけどね!」
先輩は、楽しそうにそう言って、自分の分のジュースを開けた。どうやら、先輩は、ここで飲むらしい。ってことは、もうしばらく、ここにいるってことなんだ。
そう思って、俺も同じように、貰ったものを開けて、飲み始めた。
「リョーマくんは、お昼休み、いつもここにいるの?」
「そうっすね。大体は。」
「じゃあ、明日も来てみようかなー?」
今だって、俺は、先輩とできるだけ一緒にいられるように、って考えながら行動してる。なら、明日も来てくれた方がいいに決まってる。
「本当に先輩が来るなら、ここにいるけど?」
「じゃあ、そうしよう!ありがとね。」
「別に・・・。」
本当は俺の方が喜んでるし、俺の方が嬉しく思ってる。俺の方が感謝してると思う。・・・だけど、そんなこと言えるほど、俺も大人じゃない。
だから、せめて・・・。
「それじゃ。そろそろ、教室に戻るね。」
「先輩。ファンタ、どうもっす。・・・明日は無くてもいいっすからね。」
なんて言葉を生意気に言ってみた。・・・本当に、何も無くても来てほしいと思ってるけど。
生意気だけど、可愛いルーキー・・・それを目指しました!自分では、それなりにイメージ通りかなとは思いますが・・・彼も書き慣れていないキャラの1人ですから・・・(苦笑)。
('09/06/18)