俺は、今日も熱心に部活に取り組んでいた。それは、先輩たちに勝つためというのもあっただろうが、それ以上に、他の学校の奴らに勝ちたいという思いが強かった。
・・・らしくもなく、団体戦を意識してきてるらしい。
それは、青学に負けてしまったから、というのもあるだろう。でも、やっぱり・・・・・・。



「はい、日吉。お疲れ様。」



そう言いながらタオルを渡してくれたマネージャーのを見て、俺はもっと強くなりたい、と思った。
やっぱり、俺はに喜んでほしいから、部活を頑張っているのだろう。は、俺たち氷帝が勝てば、当然喜んでくれる。だけど、負ければ、俺たちと同じように悔しい思いをしてくれる。だからこそ、強くなりたいと思う。そして、それを支えてくれるに、本当に感謝している。



「あぁ・・・。悪いな。」

「これが私の仕事だから、当然だよ。」



しかし、そんなに、タオルを渡してくれた礼すら、俺は上手く言うことができない。俺はに「悪い」と思ったんじゃない。「感謝してる」と思っているんだ。それなのに・・・。
こんな俺が、をどう思っているかなんて、伝えられるわけもない。
・・・が好きなんだ。お前の笑顔を見たいし、お前に喜んでほしいし、俺の勝利を見ていてほしい。そのために、もっと強くなりたいと思っている。
そんなことを口に出せるわけがない。・・・だけど。には、ちゃんと俺の気持ちをわかってほしい。だから、いつかは、そのことも伝えたい。
今日はせめて・・・。



。」

「ん?」



俺は、次の仕事に取り掛かろうと、既に戻りかけていたを呼び止めた。



「・・・・・・ありがとう。」



は、少し驚いたが、すぐに笑顔で「どういたしまして」と返した。
・・・きっと、お前はタオルのことだけだと思っているだろう。本当は、マネージャーとして支えてくれていることも、お前のおかげで今までと違う思いを抱けることにも、いろいろと感謝してるんだ。
そんなことには気付かずに、そんな嬉しそうな顔をしてくれるのなら、これからは些細なことでも、素直に感謝の気持ちを述べるとしよう。
そして、いつかはへの思いも。・・・その言葉を聞いて、お前が嬉しそうに笑ってくれれば、俺はもっと有り難いんだけどな。













 

今回のキャラの中で、最も書き慣れているはずなのに、いつも以上に似非日吉です・・・orz日吉に「ありがとう」と言わせるのは、結構苦労するみたいです・・・(苦笑)。

('09/06/18)