そろそろ授業が始まる。次の授業は何だっけと思いながら、机の中を探る。・・・・・・って、教科書はこっちのバッグに・・・。あ、しまった。
昼休みにテニスの練習に行って、ラケットのバッグはそのまま部室に置いて来たんだった・・・。今から取りには行けないし、他の教室に借りに行くのも・・・。まぁ、次の授業は、教科書が無くても大丈夫だろう。だけど、一応・・・。そう思いながら、俺は隣の席を見た。



。」

「何?」

「教科書が必要なときは、見せてくれねぇか?」

「うん、いいよー。宍戸くん、忘れたの?」

「あぁ・・・部室に置いて来ちまった。」

「まぁ、次の授業は滅多に使わないから、忘れた内に入らないって!」



そう言って笑ってくれたを見て、俺の体温は急上昇した。・・・本当、激ダサだな。
正直、教科書を忘れて良かったなんてことまで思っちまうし。



「悪いな。」

「隣の席の好だよ。困ったときは、助け合わなきゃね!」

「俺ばっか、助けてもらってるけどな。」

「ううん!そんなことないよ。私も助けてもらってます。」



なんか、にも無理矢理言わせてしまったよな、俺・・・。全く、情けないぜ。
そもそも、こんなにもを意識して、俺らしくない行動を取ってしまうことが情けないと思う。・・・それでも、を思う気持ちは変わらない。



“キーンコーンカーン・・・”

「とりあえず、次の授業は、頼むぜ。」

「うん、了解!」



また笑顔で返してくれたに、俺の鼓動はさらに高まる。
ダサくても、情けなくても。やっぱり、のことが好きなんだ、俺は。それに、実はそんな自分が嫌いじゃない。
のことを考えれば、部活もよりやる気が出たり、授業も頑張れたりする。だから・・・。



「ありがとな。」



今の教科書の件について礼を言うかのように、俺はそう言った。・・・本当は、もっと感謝してるなんてことは、まだまだ言えねぇが。













 

私の中で、宍戸さんはツンデレ属性なので、お礼を言わせるのは結構苦労しました(笑)。でも、爽やかに言えるイメージもあるなぁと思い、それを意識して書いたつもりです・・・!

('09/06/18)