以前、ペアを組んでいた鳳がサーブの練習をするらしく、俺もスピードの計測を手伝っていた。
今、鳳は俺の代わりに正レギュラーに復帰した宍戸とペアを組んでいる。その上、鳳は宍戸が復帰するための特訓にも協力していたらしい。そのことで、一時はギクシャクしていたこともあったのは事実。だけど、俺もこの部の方針には納得しているし、宍戸を恨むのもお門違いだと思って、今ではこうして、鳳のサポートもできるぐらい、鳳との関係を(併せて、宍戸との関係も)修復できた。
それも、全てはマネージャーのちゃんのおかげだと思う。



「滝先輩。お疲れ様です。・・・どうですか、鳳くんの様子は。」

「うん、バッチリだよ。」



俺は、今から努力しても、宍戸のように復帰することは難しいと思った。だから、部活を辞めようかとも思ったんだよね。
だけど、俺だってテニスは好きだし、会計の役割もあったから、辞めはしなかった。



「滝先輩が計測を手伝ってくださるおかげで、マネージャーの私も助かってます。本当、ありがとうございます!」



最初、ちゃんに鳳のサーブを見て欲しいなんて言われたときは、少し驚いたけれど、元ペアだからこそ鳳のことをわかっている俺にやってほしいと説得され、すっかり俺の仕事になってしまった。
こうやって、ちゃんが俺にもできることを見つけてくれたから。そのおかげで、俺は部活を続けようと思えたんだ。



ちゃんの役に立てるのなら、何でもやるから。どんなことでも俺に頼んでね。」

「本当ですか?ありがとうございます!」



本当にお礼を言いたいのは、こっちの方だ。正レギュラーから外されてしまった俺に、新しい居場所を与えてくれたのだから。
今でも、こうしてこの部活に関われることを嬉しく思ってる。



「こっちこそ、ありがとう。」

「えぇ?どうしてですか・・・?」

ちゃんに、お礼を言われると、こっちも頑張れるからね。」

「そうですか?それは、ありがとうございます・・・って、これじゃ、ずっとお礼の言い合いをしちゃいますね!」



なんて言いながら、ちゃんは笑っていた。そんなちゃんにつられ、こっちも笑ってしまった。・・・本当、ちゃんってば可愛いなぁ。
きっと、この部に残ろうと思えたのは、やるべきことを見つけられたことよりも、単純にちゃんと一緒に居たかっただけなんだろう。だから、これからも一緒に部活を支えて、たくさん喋ろうね。
でも、そんなことしたら、もっと好きになっちゃいそうだ。・・・まぁ、全然構わないけどね。













 

オフ友とも話したのですが。滝さんって、鳳くんと元ペアだったなんて描写、無かったですよね??・・・・・・我がサイトでは、そういうことにしといてください(苦笑)。

('09/06/18)