店では、基本的に死神やそれに関わっている人たちへの商品を扱っている。だけど、こっちで生活するには、それを公にすることはできない。だから、カムフラージュとして、駄菓子なんかも売っている。それを目当てに、たまに一般のお客さんも来られる。
「いっらっしゃいませ〜。」
「こんにちは、浦原さん。また来ちゃいました。」
「さんなら、いつでも歓迎っスよ。」
「ありがとうございます。」
「こちらこそ。ご来店、ありがとうございます。」
その1人が、最近常連のさん。駄菓子が懐かしいらしい。
「今日は、これと・・・。あ!これも欲しかったんだ!・・・・・・それから、これ、ください。」
「はい。お買い上げ、ありがとうございま〜す。」
ただ、駄菓子を買って、すぐには帰らず・・・。
「浦原さん。これ、一緒に食べません?」
「それじゃ・・・。テッサイ、お茶の用意を。」
「いつも、すみません。」
「こちらこそ。」
さんが、買った駄菓子をすぐに食べてみたいと話し、それなら・・・と、座れる場所を確保したところ、さんが1人で食べるのは気が引けるということで、それから、ご一緒させていただく形になった。
テッサイはお茶を持ってくると、いつものように、奥へと帰っていった。・・・さんは、テッサイも誘ったことがあるけれど、テッサイが気を利かして、遠慮したのだ。
どうやら、ジン太があの女の子が来るのを楽しみにしているのと同じように、こちらも周知のことのようだ。
「本当、和みますー・・・。和風な雰囲気が、また良いんですよねー・・・。そういえば、浦原さんって、いつ見ても、その和服ですよね?」
「そうっスねー。この格好が落ち着くので。」
「その格好も素敵ですけど、他の服装も見てみたいです。」
「それは、どーも♪それじゃ、アタシが着替えたときは、2人でデートでも行きますか?」
「いいですねー!ぜひ。」
そんなこと、実現できるかわからない。おそらく、実現は難しいだろう。・・・さんとは、住む世界が違うのだから。
だから、せめて、こうして、たまにお茶できるときは、少しでも長く一緒に居たい。
「・・・・・・ふぅ。ご馳走様でした。それじゃ、そろそろ帰ります。浦原さん、今日もありがとうございました。」
「いえいえ♪これからも、ご贔屓にー。」
「はい、また来ますね!」
だから、店員なら、誰もが言うこの言葉にも、精一杯の気持ちを込める。
「またのご来店、お待ちしておりま〜す!」
きっと、その言葉には、直接伝えられない思いも入れてしまっているだろう。
さん、大好きです、と・・・。
初書き!でも、頑張りました・・・!ちなみに、「テッサイ(さん無し)」と書いたのは、以前書いた作品だからです。まぁ、現世だからいいか(笑)。(例:50話と-98話を比較)
('09/06/18)