俺は、病み上がりということで、周りから心配されている。心配してもらえれば、それほど俺の存在を大きく思っていてくれているのだと、嬉しく思う。・・・けど、それと同時に、寂しくも思う。心配するというのは、それだけ俺のことを弱く思っている証拠でもあるからだ。
「幸村くん。今日は、調子どう?大丈夫?」
マネージャーという立場もあるからだと思うけど、好きな子に、こんな心配されるなんて、情けない話じゃないか。
「ありがとう、さん。平気だよ。」
「無理しないでね。」
「さんこそ。何かあったら、すぐに俺に言うんだよ?」
「うん、わかった。ありがとう!でも、出来る限り自分でやるね!」
そう言って、さんはマネージャー業に戻ってしまった。
・・・出来る限り、自分でやらなくてもいいのに。もっと、俺を頼ってくれてもいいんだよ?そう思うけど、頑張ってる姿も好きだから、一概にどちらがいいとは言えないかな。
なんてことを考えていると、またさんがこっちに戻ってきた。
「あの・・・。幸村くん・・・。」
「どうしたんだい?何かあった?」
「真田くんがまだ切原くんのことを怒ってて・・・。もう、そろそろ切原くんも反省してると思うんだ。だから・・・。」
本当、さんは優しい。だから、赤也のことを許してあげてるっていうのも、もちろんあるだろうけど。実は、それだけじゃないことも、俺は知っている。
さんは弦一郎の大声に弱いんだ。恐らく、マネージャーの仕事で、向こうに行きたかったのだけど、弦一郎がいることに気付いて、こっちに戻ってきたんだ。・・・ふふ、本当に可愛い子だ。
「そうだな。じゃあ、俺が止めて来よう。・・・さんも、向こうに用事があるんだろう?だったら、一緒に行こうか。」
「ありがとう!」
パッと顔を輝かせると、さんは俺の後ろに隠れるようにして歩き出した。・・・まるで、姫を守る騎士のようだな。
心配されるのも嬉しいけど、やっぱり男は好きな子に頼られたいからね。俺の方こそ、感謝しているよ。
「こっちこそ。」
「ん?何が?」
「何でもないよ。」
これからも、すぐに俺のところへ来てくれればいいからね。俺にとって、さんは大きな存在だから。
「姫を守る騎士」って!!そんなこと言わないですよね、幸村さん!(汗)でも、幸村さんもたまには・・・あ、言わないですよね。はい、すみません(土下座)。
('09/06/18)