「あれー?!お妙さんじゃないですか?!!」

「・・・・・・あら、近藤さん。どうされたんですか?」

「いえ、今日はどうしても、山崎の奴が連れて行け、連れて行けとうるさいもんで・・・。まだ早いぞって言ったんですけどねー?」



店の前で偶然鉢合わせした、お妙、新八、近藤、山崎の4名。



「早く行こうって言い出したのは、局長の方じゃないですか・・・。」

「ん?何か言ったか、山崎?」

「いえ、何でもないですよー・・・。」

「相変わらず大変そうですね、山崎さん。」

「まあね・・・。ところで、新八くんはどうしてここに?」

「それが・・・・・・。」



そして、そこに例のが店から出てきた。



「お妙さん、お疲れ様です。・・・あれ、まだ開店じゃないですけど・・・・・・。」

「そうね。でも、新ちゃんは特別に入れてあげてくれる?」

「ええ、私は構いませんよ。」

「・・・ということなんです、山崎さん。」



そう言って、新八はニコリと山崎に笑顔を向けた。それを見た山崎は驚きながら、近藤の方へ振り返った。



「えっ?!局長!どういうことですか・・・?!」

「ああ。実は山崎の前に、新八くんもここに訪れていて、な。同じようなことがあったんだ。」

「同じようなこと・・・?ということは、山崎さんも?」



まだ話をよく理解できていない新八と山崎に、原因となったが返答をした。



「山崎さん、とおっしゃるのですね?」

「あ、はいッ・・・!真選組の山崎退ですッ!!」

「初めまして、山崎さん。そして、新八くん。私は、と申します。昨日、御二人のことを見かけ、じっくりお話したいと思っておりました。未熟者ではありますが、本日は御二人のことをお招きしたいのですが・・・構いませんか?」

「僕は大丈夫です・・・!」

「お、俺も大丈夫です・・・!」

「ありがとうございます。それでは、・・・って、お妙さん。本当にいいんですか?」

「ええ。気にしなくていいのよ、ちゃん。」

「はい、ありがとうございます!では、御二人はどうぞ、こちらへ・・・。」



そうして、新八と山崎は、既に惚けたような顔をしながら、案内するに導かれ、店内へと足を運んだ。
ちなみに近藤は、と言うと・・・・・・。



「それにしても、近藤さん。」

「な、なんでしょうか、お妙さん?!」

「どうして、そんなにも昨日の状況にお詳しいんですか・・・?」

「え?!!いや、その・・・!」

「お店の迷惑です。」

「あ!ちょッ!お妙さん?!!」



お妙からの鉄拳を喰らい、道端に転がっていた。








「改めまして、私、と申します。本日は、当店にいらっしゃり、誠にありがとうございます。」

「い、いえ!こちらこそ、呼んでいただいて、ありがとうございます。それと、姉上がいつもお世話になっております。」

「とんでもない!私の方がお妙さんに御迷惑をおかけしてしまって・・・。」

「そんなことないですよ。姉上はさんのこと、すごく気に入っているみたいですし。」

「本当ですか!ありがとうございます。」



席につき、にこやかに話し出した。それに、新八が答えて、何やら良い雰囲気になりつつある。それを見ていた山崎も慌てて会話に入った。



「俺は、本当にいつも局長がお世話になってます・・・。」

「ふふ・・・。それは、私というより、お妙さんの方ですね。」

「でも、この店の迷惑になってるんじゃ・・・。」

「そんなことないですよ。私としては、近藤さんも来てくださった方が楽しいですし。・・・あ、でも。今のは、お妙さんには内緒にしておいてくださいね?」



まるでイタズラを隠す子供のように、は無邪気に笑ってみせた。新八と山崎は、その笑顔に心を奪われたようだった。



「さて、お飲み物などはどうされますか?今日は特別、代金はいただきませんので、存分に楽しんでくださいね!」

「え・・・いいんですか?」

「ええ。だって、今日は私が御二人をお招きしたんですもの。むしろ、それぐらいさせてください。」

「そんな!悪いですよ・・・。」

「でしたら、次回からは湯水のように使っていただければ。・・・なんて、冗談です。とにかく、今日は私が御二人と仲良くさせていただきたかったので、ぜひお願いします。」



遠慮がちな新八と山崎だったが、やはりの笑顔に負け、何かを言い返そうとは思えなかった。
しかし、そんなだからこそ、何かしたいと2人は考え、先に山崎が口を開いた。



「俺、これからは給料入ったら、すぐさんのトコに来ますッ!」

「僕は・・・・・・。」



公務員の山崎と、町の便利屋の新八。残念ながら、財力に差が出た。
軽く落ち込む新八と少し勝ち誇ったような顔をした山崎だったが・・・・・・。



「ですから、冗談ですってば。たしかに、お金を使っていただいた方がお店としてはありがたいですけど・・・・・・。私個人としては、御二人とお話できれば、充分幸せなんです。」



は微笑みながら、そう言った。それに2人が魅了されないわけはなかった。

ちなみにこの、常連の間では「純情キラー」などと呼ばれ、恐れられている。自らの無計算な純情を武器に、次々とピュアな男たちをこの店の虜にしたことが、その名の由来だそうだ。それを知って尚、通い詰める男が後を絶たないらしい。もちろん、この2人も、晴れてその一員の候補となったというわけである。



「いや、俺は本気でさんを・・・・・・!!」

「そんなの、僕だって・・・・・・!!」



・・・・・・いや、正しくは、既にその一員となったようだ。









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いやぁ、楽しかったです(笑)。本当、この2人大好きです!特に、困った感じが好きなので、いろいろと焦らせてみました★
もっと書きたいぐらいなので、機会があれば、続きを書いちゃうかもしれません(笑)。

ちなみに、私はお妙さんも近藤さんも好きですよ?・・・近藤さんの扱いは、非常に悪いですが(苦笑)。でも、近藤さんはとても頼れる兄貴でありながら、普段はどこか可愛い(むしろ、可哀相な)感じがすごく素敵だと思います!(←)
お妙さんは美人さんかつ、強いところが魅力的ですね。はっちゃけたところも好きですが(笑)。

('10/01/21)