みんなの部活が終わる頃、私はテニスコートの近くまで来た。
ここからは、部室のドアが見える。
絶対に無理だとは思うけど、今日、私は告白をしようと思っている。
太陽が1番地面に近い今ならば、少しでも、気持ちが届きそうで。
そして、ドアが開いて、誰かがこちらに向かって歩いてきた。
「ひ、日吉くんっ!」
私は、太陽に向かって言った。
「か。どうした?」
その声は、やっぱり暖かくて。
「あ、あの・・・。ちょっと、時間、いい・・・?」
「・・・あぁ。」
「ここじゃ、話しにくいからことだから・・・、ちょっと来てくれる?」
それには、なかなか答えてくれなくて。
勘付かれたのだろう。
「いや、待て。ここでいいから、先に、俺の話を聞いてくれ。」
私は空を見た。
本当の太陽がもう沈みそう。これじゃ、思いが届かないよ。
「・・・うん。」
「。俺は、お前が好きだ。だから、付き合ってくれないか。」
「え・・・。ウソ・・・。」
「嘘じゃない。・・・で、返事は?」
「あ!え、え〜っと。その。さっき話したかったのは、そのことで!だから、私も・・・好きです・・・。」
本当信じられなくて。でも、太陽が夕暮れのせいじゃなく、赤くなっていて。
そして、気がつけば、前が見えなくなって、太陽に包まれていた。
ううん。太陽なんかじゃない。
太陽よりも暖かい、人間の温もりがする。
そうだ。私も日吉くんも、同じ人間。だから、こうして想いが通じた。
だけど、やっぱり、日吉くんは太陽みたいだ。
私の人生を明るく照らしてくれるから。
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「太陽が1番地面に近い」とか、そういう表現が自分で気に入ってたりします(笑)。
ただ、『太陽』という言葉が『本物の太陽』を表しているときと『日吉』を表しているときがあるので、結構ややこしいですよね・・・。
まぁ、日吉視点の話と合わせて読むと、わかりやすいかなぁと(←宣伝っぽくて、すみません)・・・。
そんなわけで、別視点の話も読んでいただけると嬉しいです。
('08/02/07)